10月10日、ついに最終決戦が明日に迫ってきた。
隊員達の顔にも緊張の色が見られる。SimCity3000で間違った所に高速道路を通してしまい資金が底を尽き、セーブせずに次回やり直すことになったぐらいである。
……まあ、それはともかく、まずは駅前の東武ストアーと東急ハンズに装備品を調達に行った。用意したのは以下の物である。
- エアコンクリーナー ５５０円
- エアコン消臭剤 ７７０円
- 液状パテ ９８０円
エアコン後ろの穴を塞ぐため - プラスチック板２枚 ２００円
穴が大きい場合に塞ぐのに使う - ビニールカッパ ３５０円
ヤツらからの備えての防御 - ゴム手袋 ５００円
- ビニールシート ８４０円
ヤツらからの防御のため、天上から吊す - 雑巾 ３８０円
- 部屋のクリーナー ３００円
ハンズでは殺虫コーナーでいい物を見つけた。
他のゴキブリ関連HPでは、ヤツらを捕らえるのにクイックルワイパーを利用すると書いている所が多いが、専用に作られた同様の製品が出ていたのだ。
ソフト99が出している「ワン・ツー・ポイッ」と言う安易なネーミングの製品がそれだ。柄の先に粘着シートが付いていて、それでヤツらを軽くポンと叩くとくっつけ、二つ折りにしてポイすることも出来る。予定外ではあるが、武器は多い方がいいと思い、試しに一つ買ってきた（７００円）。
翌日、とうとう作戦開始である。敵のアジトはエアコン、ゼネラル・ミンミンの後ろにあると見た。
エアコン付近の荷物を片付け、ビニールシートをガムテープで天井から吊るす。準備はＯＫ。
次はエアコンを取り外さねばならない。簡単にカバーが開くようになっているタイプではないので、外し方から見つけなければいけない。これがわからなかったため、今まで掃除できなかったのだ。持ち上げても引っ張ってもカバーは取れなかった。
しかし、よく見ると吹き出し口の中に二つネジがある。これか！？ と思いネジを外すと、カバーは簡単に外れた。
外のカバーを外した所に成虫がいて、体の方に這ってくるような、いや〜な想像をしていたのだが、成虫も幼虫もおらず、まずは一安心だ。
エアコンの放熱パネルはそうとう汚れていた。クリーナーを吹き付ける。かなり強い噴射で汚れを落としていく。さすがにやらせのテレビショッピングで見るように、見違えるほどのきれいさにはならなかったが、それでも雑巾で上を軽くこすってやるとずいぶんきれいになった。
ひょっとして中に潜んでいたヤツらが吹き出し口から出てくるかも知れないとも思ったが、それもない。
いよいよ背後のチェックである。さらに二つネジを外し、そ〜っと手で持ち上げる。ドレンパイプがしっかりとくっついているのでエアコン自体を外すことが出来ないのは痛い。
恐る恐る隙間から裏をのぞくと、予想どおり最大径で10cm程度の楕円形の穴が空いており、そこをドレンパイプが通っていた。
穴を塞ぐためのゴムのパッキンがパイプに付いていたが、小さすぎて何の役にもたっていない。幸運なことにエアコンの後ろにもヤツらの姿はなかった。
「ここがヤツらの魔窟か…」
毎年毎年この穴から怪人達を送りだし、世界征服を企んでいたのかと思うと恐ろしくなる。絶対中にいることは間違いないのだから、殺虫剤を撒かなければいけない。残効性のあるコックローチＳを穴の中の上下左右に向け、まんべんなく噴霧した。
突然の本土爆撃に対し、決死隊を組織して攻撃をしかけてくるかもしれないと思ったのだが、それもなかった。ちょっと拍子抜けなくらいである。
もとよりあまり残りがなかったコックローチＳを使い切るまで噴霧した。これで完璧だなんてとても思えないが、新たに買ってくるのもどうかと思ったので、あきらめる事にした。要はうちの部屋の中に入ってこられなきゃいいのである。
さあ穴を塞ごうという段になったが、思ったよりも穴が大きすぎ、液状のパテではとても塞げない。
プラ板を使おうにもドレンパイプが結構しっかりとくっついているため、隙間に差し込むことが出来ない。さあ困った。まさか殺虫剤を撒いただけでは不安である。
大変だが、ここはひとつ別の粘土状のパテを買ってくる事にした。そいつはハンズで目を付けていたものだ。液状のパテのようにかたまったりはしないが、こねて広げればそうとう大きな所も塞ぐことが出来る（1000円）。そいつを使って穴を埋めていった。
ドレンパイプが邪魔だし、エアコンを片手でささえながらなので、お世辞にも、
「いい仕事してますねぇ」
とは言えないが、成虫はもちろん、幼虫もおそらく出てこられないようにはしたつもりである（このつもりというのがコワイのだが）。
エアコンを元に取り付け、最後に吹き出し口から中を掃除する。雑巾でゴシゴシすると、内部で繁殖したカビやホコリのなれの果てなのであろう、これまでも、少しずつボロボロこぼれるように飛び出してきていた黒いカスが、大量に出てきた。いつぞやはヤツらのフンと見間違ったものだ。いや、中には絶対ヤツらの物も混じってると思うのだが…。
掃除できる範囲はずいぶん丁寧に掃除した。雑巾はススでも拭いたかのように真っ黒になった。いかに汚れていたのかがわかる。試しに動かしてみるとまだカスは少し出てくるが、次第に出なくなるだろう。
さて、GKDの仕掛けた最終戦争は終った。敵陣地に踏み込んでみたらもぬけの殻だったような、そんな感じもしないでもないが、やれるだけのことはやった。これ以上は本当に塞ぐような所は思い付かない。
穴を塞いでから今日13日までにすぐ外で１匹、中で４匹の体長5mmの幼虫を見つけ、退治した。これこそ本当に、以前から部屋のどこかに逃げ込んでいた幼虫の残党（落武者）であると思いたい。
発生源を塞いだのだから、理論上は、今後は窓の開放とゴミの処理にさえ気を配っていれば、デカいのが出ることはなくなるはずである。ただ、ひょっとしたら１〜２匹は３〜４cmサイズのが隠れているかも知れない。落武者狩りにもう一度フォグロンでも焚いてみるのもいいだろう。
やるべきことは全てやった。
思えば長い戦いであった。平成８年に引っ越してきて以来、３年ちょい。実に大小取り混ぜて40匹近いゴキブリと戦ってきた（表・グラフ参照〔部屋の中に出たヤツのみ〕）。見てのとおり、年々増えているのが恐ろしい。