愛と感動の闘病記《最後の一葉》
手術前
２００２年３月９日（土）入院２日目
８時の朝食を食べ、ようやく少しウトウト眠る。
昨日から引き続いて下痢。それはいいんだけど、足が痛いので便座に座ってるのがつらい。
昼間はテレビを見たり（「ナースのお仕事３」とか）、お見舞いの相手などをしているせいか、あまり痛くないのだが、消灯後、また眠れないくらいの痛みが襲ってきた。
ナースコールするが、急患があったらしく一度来ただけで１時間近く放っておかれる。忘れられたのか、暗にまた「様子を見ましょう」という意味なのかと思い、やむを得ず苦悶のまま時を過ごす。そのままなんとか眠ることができた。
看護婦はその後もう一度来たそうだが、眠った後だったのでそのままにしておいたのだそうだ。
３月１０日（日）
朝７時頃だったろうか、体重測定で起こされる。59.5kg。やっぱり２kgほどやせたようだ。
起きるとまた足が痛みだす。テレビを見ながら一眠り。昼食は座ってるのがつらいのでなかなかはかどらない。痛みが少ないときを見計らってかっこんだ。
消灯後11時30分、また足の痛み。少し丸まって左側を下にして眠るのが一番痛くないのでずっとそうしていたのだが、同じ体勢ばかりしていたためか、左の骨盤のベッドに接している部分も痛くなってしまった。こうなると、もうどうしてても痛い。
ナースコールするが、薬はもうあまり使えないということで、また様子見。がんばってなんとか眠りにつく。
３月１１日（月）
午前４時に激痛で目覚める。やはり麻酔系は使えないとのことで足に湿布を貼る。しばらく痛みに悶絶。やがてまた眠りに落ちる。
ある看護婦が「すごい寝相が悪いね、丸まってエビみたいだったよ」と言ったので
「バカヤロー！ こうしてないと痛いんだよ！」と怒鳴ってやりたかった。俺だって足のばして寝たいわい！
外はいい天気。風が少しある。
午前中、鈴木宗男の証人喚問を見る。辻元清美の時がやっぱり一番面白かった。度忘れ禁止法、疑惑の総合商社ってああた…（笑）。やっぱり関西人は違う。
このところ、痛いから雑誌も買いに行けないし、昼間はやることがないのでテレビの鈴木宗男報道ばかりがお友達である。
実家から母親が来る。手術の説明と同意書への押印のためだ。
午後、母を交えＩ先生から再度詳細な説明を受ける。
ヘルニアの手術には外科医の手術と脳神経外科医の手術があり、先生は脳神経外科医である。外科医の手術はすべて肉眼でおこなうために切開も大きくなり、骨も大きく削る必要があり、その分入院期間も一ヶ月ほどになるが、脳神経外科医は顕微鏡を使って手術をするために切開が最小限（２～３cm）ですみ、入院期間も１～２週間で済むとのことだ。
血はほとんど出ないので輸血の必要もない。 昔の手術では椎間板自体を全て切除してしまい、背骨が短くなってしまうという問題があったが、今はそんなことはやらない。
中枢神経が集まっている箇所なので、失敗による下半身不随などの心配があったが、それについては、脊椎をまるごと取ってしまうようなことでもしない限りは大丈夫。
Ｉ先生は年20人程度、過去100人以上手術をしてきたが、ほぼ全ての患者が問題なく復帰している。１人だけ足首が多少上がりづらくなった患者がいたが、痛みは取れ、生活にもさほど支障が出ていない程度。しばらく足のしびれが残ることもあるが、それも数ヶ月でほぼなくなる。
術後、翌日にはもうコルセットをして歩いて良い。退院は術後約１週間。 手術費用は入院費を含めて約20万円との話だった。（実際には15万円ちょっとだった）
保存療法は効果があるかどうか不確かだし（事実２度目のブロック注射は効かなかったし）、当分今の痛みに苦しまないといけない上、費用と入院期間を考えても、とっとと手術してしまったほうがいいと俺は結論を出した。
入院の保証金として３万円をとりあえず支払う。
２時に大部屋に空きができたのでそちらに移る。同じ階の他の病室もそうだが、ここも老人ばかりであった。隣の爺さんのからんだタンを取ったり看護婦の出入りも多く、落ち着かない。 夜に備えて湿布を２袋１４枚出してもらい、貼っておく。おかげで多少は痛かったが眠れた。
でも隣の爺さんのために看護婦が出入りするのでゆっくりは眠れなかった。まあこれはしょうがないね。
３月１２日（火）手術前日
８時起床。眠いし、足も少し痛い。外はいい天気。
明日の手術に向け、畜尿と言って一日の小便の量を計測する必要があるのだそうだ。
トイレでシビンに尿を取り、隣の汚物室にある機械に流す。量と回数を計っているらしい。
午前中、背中の毛を剃ってもらう。別に熊のように生えているわけでなくただのうぶ毛なのだが、それでも念のために剃るのだそうだ。
術後は当分入浴できないので、今日入浴である。どこかのヘルニア患者のサイトではとても自分では動けないので、寝たまま看護婦さんが洗ってくれたとあったが、俺の場合は動けるので、残念ながら自分で入った。
いい加減臭くなっていたであろうチンチンや、かゆくなっていた頭を念入りに洗った。
久しぶりの入浴でほんとにさっぱりした。
今晩９時からは断食である、ラマダンである（絶食だってば）。水を飲むのも禁止である。胃に食べ物が残っていると、麻酔中に気管の方に入ったりして危険なのだそうだ。
また手術中に脱糞してしまってもいけないので下剤を２包飲んだ。しかしここんとこ便秘で出そうにないんだよね。
便座に座ってると足が痛くなるので、体が便意を起こそうとしていないのかも知れない。
手術の同意書を提出する。 今日も友達がお見舞いに来たりして、だいぶ気が紛れ、痛みも楽だった。
